トロント(カナダ)在住20年の筆者が、カナダ国内旅行やトロント市内を中心としたイベントで撮影した写真で綴るブログです。
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2016年6月29日水曜日

ケベックシティからトロントまで、VIA鉄道に乗ってわかったこと



トロントからケベックシティ間は、約800キロ。交通機関は飛行機か鉄道、クルマの3種類です。今回の旅行で行きは飛行機を使い約1時間半で到着しましたが、帰りは VIA鉄道を使ってみました。かなり時間はかかりますが、乗ってみて分かったことも多かったので、そのことについて書いてみたいと思います。

まずはモントリオールまで

モントリオールとトロント間に鉄道が開通したのは1856年のこと。モントリオールとケベックシティが繋がったのも同じ時期です。当時東部カナダはイギリス資本の鉄道投資熱に浮かされていたため、たくさんの路線が誕生していました。複雑な経過をたどり、現在まで続くカナダ鉄道史の中でも、ここは中心的な役割を果たした路線になります。カナダ史を学ぶ過程でいつかはトロント〜ケベックシティ路線に乗ってみたいと思っていました。今回それが実現したというわけです。



出発駅はすでに下見を済ませたパレス駅。乗車したのは、この日の一番列車午前7時45分発の列車番号23モントリオール行き。



荷物は機内持ち込みサイズのキャリーケースと小ぶりなリュック。大きな旅行用スーツケースを持っていると、係員がやってきて手続きをしてくれますが、私は見るからに軽装なのでスルーです。



ホームに入ると、鮮やかなブルーの車体がホームに停車していました。



これは2002年に投入された、ルネッサンスというタイプの車両です。



車内はこんな感じ。



エコノミーの車内は2+1。私の座席は一人席でした。



このルネッサンス車両は、椅子の下に斜めに差し込む形で機内サイズのスーツケースが入ります。



足元はこんな感じ。ゆったりサイズで、右側には電源があります。



テーブルはかなり重い鉄製。こうやって引き出します。重さといい引き出すアクションといい、エアカナダのB777のビジネスクラスと似ています。



まず小さなテーブルになり、



さらに開くと、けっこう大きなスペースが出現。ラップトップを置いてみました。テーブルの広さとこうしたギミックは、エアカナダB787のビジネスクラスと似ています。



フットレストもあります。なぜこういう車両がここに使われているのかと考えていたら、その答えは割とすぐ見つかりました。



最初の停車駅(Sainte-Foy=セント・フワ)でスーツでばっちり身を固めた大勢のビジネスマン(ウーマン)が乗り込んできたのにはびっくり。コリドーはビジネス用途で使われる路線とは聞いていましたが、まさかケベックシティ〜モントリオール間がこういうことになっていたとは。

私が乗ったのが月曜日の朝、モントリオール着が午前11時9分の便だったこともあるのでしょうか、皆さんテーブルの上にラップトップや iPad を出して、時折携帯を取り出しては小声でなにやら話をしている姿は、さながらオフィスのよう。セント・フワを調べてみると、ケベックシティが観光の街だとするとここは経済の要となる街だということ。乗車してきた彼らがどういうワーキングスタイルなのかはいまだ不明ですが、月曜の朝の便でモントリオールへ向かうというのは、おそらく本社へ出張するのだろうと理解ができるわけです。

鉄道で約3時間半をかけてモントリオールへ行く理由を考えるに、かなり頻繁に往復していることを前提に考えると、飛行機よりも圧倒的に安い交通費が一つ目。Wifiが使えますから、乗っている間基本的な仕事はできるという環境が二つ目。時刻表を見ると平日は5往復もしていますから、こういった利用客にこの路線が支えられていることは間違いなさそうです。



列車はオフィスのような様相を呈しながら、セント・フワ駅を出ると間もなくセントローレンス川を渡ります。



実はこのブログを書くまで、この路線はずっとセントローレンス川に沿って走るものと勘違いをしていました。調べてみると、列車はフェリーで行った LEVIS の街をかすめるように南下し、Charny に停車した後は西に進路を変えてまっすぐモントリオールに向かうルートを取っています。フェリーで訪れた時に見たかつてのVIA鉄道が通っていた LEVIS の駅があんな所にあった理由がようやくわかりました。



しばらくすると車窓から見る風景からは川が消え、草原地帯を眺めているとしまいには雪が降ってきます。5月中旬でも薄っすらと雪景色になる草原は、なかなか風情があるものです。



列車は再びセントローレンス川を渡り、モントリオールへと入ります。



3時間半の旅が終わり、ここからさらにトロントへ向かうため一旦列車を降りて乗り換えです。直通があればと思いますが、ケベックシティ線だけは独立しています。



ここからの列車は、直近のものとしてはオタワ経由の55番列車が12時50分発で接続しています。次いでキングストン経由の67番列車が3時45分発。もともとの計画はモントリオールで買い物をするため4時間後の67番列車を予約していました。幸か不幸か買い物はケベックシティですべて終わっていたので、朝も食べていなかったので食事を取り少し駅で休憩することとし、予定通りの列車で帰ることにしました。



時間になったので、列車に乗り込みます。思えばコリドーパスを買ってから今まで、列車が遅れたりキャンセルになることは一度もありませんでした。



ドアにはWifiのマークがあります。つながっているというのは、何かとありがたいものです。



始発ですから、空席が目立ちますね。観光シーズンはもう少し先。5月中旬は時期としてはまだ早いですから、この時期の旅は混雑を避けられるという利点があります。確かに青空のもと綺麗な景色を見るという旅の楽しみ方はありますが、景色にそれほどこだわらなければ、移動もホテルも値段が安いシーズン前に来るというのもアリですね。



いつもの LRC カー。



ルネッサンスと比べると、少しだけ狭い感じがします。



キャリーケースは、頭上の荷物入れにすっぽりと入りました。



テーブルはこんな感じ。なかなか揺れますから、根を詰めた仕事はできません。



足元の電源は、位置的にちょっと使いにくい感じですが、あるということが良いですね。



約5時間かけて全行程を走ります。



トロント到着は午後8時34分。ほぼ予定通りでした。

どこの街も発展して行き、数年で景色が変わってしまうのは見慣れた光景。カナダがフランスとイギリスの植民地として国としての基礎を作ってきたことは歴史が物語っていることですが、特に鉄道の導入はイギリス産業革命の強い影響下にありました。草原地帯を走る車窓からの風景を見ていると、当時の人々も同じようにこんな景色を見ていたのだろうかと想像するのも楽しいものです。



カナダの国土は広い。鉄道は東部カナダから始まり、建国時に西へと延長して行きました。その鉄道史の開拓時代を感じることができるのが、このケベックシティ〜トロント線(コリドー)なのだということを考えると、ここを鉄道で旅する意味も見えてきます。

朝7時45分にケベックシティを出発し、途中休憩がありましたが午後8時34分にトロント着ですから、合計して約13時間の鉄道の旅をしたことになります。体力的にはなかなか大変でしたが、こういう旅はめったにできないもの。とても思い出に残るものとなりました。